公認会計士への道

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Q023:会計士は20年後になくなるのか?

AIが会計士の職を奪うと聞きますが、松本先生の意見を聞いてみたいです。(ハンドルネーム:大学生)

 

どうも、松本です。

 

さて、今回のご質問は重要ですので、しっかりと私の意見をまつブロにてお伝えしていきます。

 

では行ってみましょう。

 

この、「AIが会計士の職を奪うのですか?」というご質問は、大変多く受ける質問の1つであります。

 

オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が2013年に発表した論文で「機械が奪う職業ランキング」の第2位に会計士がランクインされました。

 

これが「週刊ダイヤモンド」の記事でクローズアップされたこともあり、今後20年以内に「会計士は機械やAIに仕事を奪われるのではないか?」という不安が日本でも広がったことに起因しています。

 

当時の記事がこちらです。(リンク切れにご注意下さい。)

 

まずは私の意見から。

 

AIが会計士の職を奪うことは、ありません。

 

詭弁ですので、どうぞ安心して下さい。

 

なぜそう断言できるのか、今からその理由を記載していきます。

 

理由1:この記事の「会計士」は、そもそも日本では「税理士」のことを指しているから。

 

まずですね、オックスフォード大学はイギリスにあり、記事内にある「機械が奪う職業ランキング」は米国について言及しています。

 

つまりこの記事はイギリスにおいて、アメリカの職業としての会計士について言及しているわけです。

 

イギリスとアメリカには「税理士」という職業が存在しません。

 

税理士という職業は東南アジアには比較的多く存在していますが、欧米には実はほとんどありません。

 

なぜなら、欧米における税務業務は大半が会計士が担っているからです。

 

私は、一般的な税務業務(納税者に代わって、決算書と申告書を作成して、納税代理を行う業務)はAIに取って代わる可能性が極めて高いと思っています。

 

なぜなら、高度な専門性を要求されないからです。

 

地方の税理士事務所などは、税務業務の大半はパートのおばちゃん(無資格)が担っています。

 

このような一般的な税務は、AIを活用する方が効率性が高くなります。

 

公認会計士は英語で、「Certified Public Accountant」と言われますが、税理士は英語で、「Certified Public Tax Accountant」と言われます。

 

厳密には、税理士は英語で「Certified Public Tax Accountant」とする、と日本税理士会連合会が平成23年に英語表記を定めたに過ぎません。(つまり、「造語」なのです。)

 

それが証拠に、中国では税理士の英語表記は「Certified Tax Agent」ですし、インドネシアでは「Tax Consultant」、シンガポールでは「Accredited Tax Professional」と呼ばれています。

 

このことからも、税理士に相当する用語が各国で共通していないことが分かります。

 

国際的に通用する用語でない上に、前述した通り、イギリスとアメリカには税理士の概念自体が存在しないのだから、訳しようがありません。

 

日本語で翻訳するならば、「機械が奪う職業ランキング」第2位は税理士でなければなりません。

 

週刊ダイヤモンドの筆者が、こういった経緯と考察を加味して記事を執筆したとは思えません。

 

何よりも「会計士の職がなくなる!?」って書いた方がキャッチーですし、読み手の注意を惹きつけます。(これに反応する人もどうかと思いますが。)

 

公認会計士に対するネガキャンは、公認会計士である私からすると、はた迷惑この上ないです。

 

未来ある会計士受験生が、チープな情報源だけを根拠にして受験離れを起こすことだけは、何としても避けたいところです。

 

これは、我々のような本当のことを知る公認会計士が声を大にして後世に伝えていく必要があると考えます。

 

意見(週刊ダイヤモンドが伝える「会計士の職はなくなるかも」)と事実(実際になくなる可能性があるのは税理士)は異なります。

 

しっかりと意見と事実の違いを理解する必要があります。

 

このまつブロの記事は、どうぞ拡散して下さいませ。

 

会計士業界のプライドと発展のために。。。

 

理由2:会計士の職はAIによって一定程度浸食されることは事実。しかし、、、

 

事態は、

 

ランキング第2位が会計士ではなくて、税理士でした。

 

で、解決するほど単純ではありません。

 

会計士業界にも、AI化・機械化の波は確実に忍び寄っています。

 

ある監査法人の会計士は「確かに会計士の仕事の8割は機械に代わる作業かもしれない」と述べる。

 

会計士の重要な仕事である決算数値の誤りの発見まで、今後、人工知能を用いた機械が取って代わる可能性はかなり高い。

 

(週刊ダイヤモンドの記事より抜粋)

 

これもまた事実と言わざるを得ません。

 

ここまでをまとめると、

 

1.一般的、汎用的な税務業務は真っ先にAIに取って代わる時代が来ます。(税理士が2位にランクイン)

 

2.会計士の行う監査業務も、全てとは言わないが、機械やAIに代替される可能性があります。

 

1については、理由1で言及した通りです。

 

では2についてはどうでしょうか?

 

私はこう考えます。よく注視して下さい。ここ重要です。

 

会計士は、全てとは言わないが、機械やAIに代替される可能性があります。いわんや、サラリーマンにおいてをや。

 

この後段が最重要なのです。

 

とどのつまり、あえて誤解を恐れずに強調するなら、

 

会計士が機械やAIに代替される頃には、一般的なサラリーマンなんて既に存在しない。

 

という顛末に終始します。(極端ですが。)

 

なぜそう言えるのか、それは経営者の視点から考察を加えると見えてきます。

 

経営者が機械やAIを導入する理由。

 

それは、それらを利用する方が余分なコストが削減されることを通じて利益を獲得でき、経営の合理化につながるからです。

 

だとすれば、最初に着手すべきは、「誰でもできる仕事を機械やAIに代替させる。」ということになります。

 

誰でもできる仕事は圧倒的に

 

サラリーマン>会計士 です。

 

会計士は監査も経理もできますが、経理部のサラリーマンには監査はできません。

 

マス(大量のもの)から合理化を図る。

 

経営においては常識中の常識です。

 

だから、会計士も御多分に漏れず、誰でもできる仕事の多くは機械やAIに依存していくけども、そんな心配をするよりも、サラリーマン自体が機械やAIに代替される方を憂うべきなのです。

 

「機械が奪う職業ランキング」の圧倒的第一位はまごうことなき「サラリーマン」です。

 

どうして誰も指摘しないのでしょうか?

 

答えは簡単です。

 

ニュースバリューがないからです。

 

つまり、「当たり前のこと」だから読み手の興味を惹きつけないという理由と、週刊ダイヤモンドのメイン読者はサラリーマンなので、買い手を不快にできないという理由があります。(二度と買ってくれないかも知れないからです。)

 

だから、少数の専門家をターゲットにして、「医者も機械によって食えなくなる。」とか「弁護士もAIの到来で仕事が激減する。」みたいなことを吹聴して回るわけです。

 

講義の雑談でもお話したことがありますが、「雑誌は100%意見」ですから。

 

事実なんて述べていません。

 

高度な知的訓練を受けている皆さんだけは、このような記事に一喜一憂して欲しくないものです。

 

ここで、少しだけ閑話休題。(後で戻ってきますので。)

 

私は不動産投資家でもありますが、不動産投資の世界では「東京23区内(厳密には山手線内)のRC(コンクリート)造の物件を所有する場合には、地震保険を掛けない方が良い。」と言われています。

 

この地震大国の日本で、です。

 

関東大震災の再来が起こり得るかも知れないのに、です。

 

さて、これがなぜだか分かりますか?

 

理由が2つあります。

 

投資家になるための思考の訓練です。

 

ぜひ、2分ほどじっくりと真剣に考えてみて下さい。

 

 

答え

 

地震保険を掛けるだけ無駄だから

 

です。

 

☆地震保険とは?

 

地震保険は火災保険に付帯して加入する損害保険の一種であり、原則として地震保険単独で加入することは出来ません。

 

建物の損壊の程度に応じて保険金を受け取る仕組みになっています。(全損なら保険金額の100%、大半損なら60%、小半損なら30%、一部損なら5%)

 

地震保険の保険金額は、建物は5,000万円が上限です。

 

さて、この地震保険ですが、なぜ山手線内での加入は非推奨なのでしょうか。

 

そもそもRC造の建物は地震に強く、特に昭和56年以降の新耐震基準で建築されたRC造は基本的に震度7程度では倒壊しない構造になっています。

 

地震が起きても、倒壊しない可能性が高いのだから、地震保険には加入する必要がない。

 

これが理由の1つ目です。

 

そして、次が重要なんですが、仮に建物が震度8以上の大地震の到来によって全損壊するシチュエーションを考えてみます。

 

一体どのような状況だと思います?

 

答えは簡単。

 

日本が終わる時」です。

 

都庁が倒壊し、国会議事堂が倒壊し、六本木ヒルズが倒壊し、東京ミッドタウンが倒壊する。

 

がれきの山と化し、何百万人もの死者が出て、人が住めないような状況が想定されます。

 

地震保険は支給する保険金の上限が5.5兆円と決まっているので、首都圏直下型の大震災の場合には、全損壊しても全額の保険金が支給されない可能性が高いです。

 

最悪のケース、保険金を受領する本人自体が亡くなっている可能性もあります。

 

しかも、10億円の建物を取得しても、保険金額の上限は5,000万円です。もはや焼け石に水。

 

だから、国家が終焉するほどの大規模震災が起きたならば、それはもう不動産投資家としては諦めざるを得ない。

 

つまり、地震が起きて、建物が倒壊する時には、保険金の受領に意味がないほどの大損害になっているから、というのが2つ目の理由です。

 

以上2つの理由から、地震が起きようが起きまいが、保険金は受け取れないか、受け取っても意味がない可能性が高いのだから、加入するだけ無駄

 

これが、地震保険の加入が山手線内で推奨されない理由です。

 

山手線内で建物の倒壊により、保険金額の100%を受領出来る頃(A)には、日本が国家として終わる(B)

 

ここで先ほどに本題に戻ります。

 

会計士が機械やAIに代替される頃(A)には、一般的なサラリーマンなんて既に存在しない(B)

 

Aの頃にはBになっている。

 

2つの文章を換言すれば、Aという事態・状況が生じた場合には、Bはもはや手遅れである、ということ。

 

地震保険とAI、一見すると全く別の話に映りますが、その実は「手遅れになる方(B)」の存在が指摘されていない(知られていない)という事実にあります。

 

AIが会計士の職を奪う頃には、サラリーマンはもっと凄惨な状況になっています。

 

しかも地震は予見不能ですが、AI化・機械化の波は予見可能です。

 

そう遠くない未来において、多くのサラリーマンが直面する悲劇的な状況を我々は目の当たりにすることになるでしょう。

 

その時に気づいても、もはや手遅れです。

 

RC造からなる「会計士」という名の建物が倒壊する前に、木造からなる「サラリーマン」という名の建物から順に倒壊していきます。

 

しかも、RC造からなる「会計士」という名の建物は堅牢ゆえになかなか倒壊しません。

 

おとぎ話の「三匹の子豚」よろしく、時間と手間暇をかけて作り上げた建物の方が有事の際に役立ちます。

 

だから、安心して会計士の勉強に邁進して下さい。

 

会計士が20年後になくなる可能性は0%です。

 

私が責任を持って断言します。

 

以上です。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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