公認会計士への道

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監査法人の就職状況について1

いつもお世話になっております。
web受講生なのですが、松本先生の熱く心揺さぶる授業に何度も助けられました。
ありがとうございます。

 

さて本題の相談に関してですが、
監査法人の就職年齢に関してです。

 

今年私は27になります。
第2回短答では無念な結果に終わりました。
次回の合格を目指すことにはしたのですが、年齢は28となってしまいます。

 

そこで心配なことが来年度の監査法人の採用状況です。

 

私は就職していた期間が1年で、社会人としての経験は新卒とほぼ同条件です。
転職組でなく、ほぼ新卒に近い既卒者の採用には年齢の上限があるのではないかと心配です。

 

現在の四大監査法人では現実的には何歳程度まで採用しているのでしょうか?
また短答合格者の採用でもやはり現実的には年齢制限があるのでしょうか?

 

現在、とても不安を覚えており、
お答え頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。(ハンドルネーム:それがし)

 

どうも、松本です。

 

本日は監査法人の就職状況や面接、採用条件等についてお話ししていきたいと思います。

 

まず、質問者さんは来年の就活時点で28歳とのことですが、結論から言うと「全く問題ない」と思います。

 

そもそも論文試験合格者の平均年齢は平成28年の論文試験で26.2歳となっています。

 

合格者の内訳はこちら

 

なので、年齢について問題になることはないと思います。

 

監査法人の就職状況について

 

大手4大(新日本、あずさ、トーマツ、あらた)監査法人はここ数年300名前後の採用を予定しています。4大全体で1,200名程度。

 

中堅(太陽、優成、東陽、京都、仰星等)の監査法人も例年10〜20名程度は採用しているため、中堅全体で100名程度。

 

日本にはその他の名もなき監査法人が200以上あります。どこも人手不足なので、1法人2、3名採用すると仮定して500名程度。

 

大小様々な監査法人全体の求人数が1,800名程度。

 

昨年の論文合格者が1,100名程度。監査法人に8割が就職すると仮定しても900名程度。

 

つまり、900名の就職希望者に対する求人数が1,800名有効求人倍率は2倍という超売り手市場となっています。

 

4大監査法人は昨年、40歳台の方の入社があることも聞いています。

 

ゆえに、20代、30代前半までの人は年齢制限については全く考えなくても良いと思います。

 

だた、それよりも大事なこと・お伝えしたいことがあるので、どうぞ読み進めて下さい。

 

面接方法について

 

履歴書や職務経歴書は提出しますが、書類選考はありません

 

基本的には2次面接が最終選考になることが多いです。(法人によってまちまちですが、一般的に。)

 

1次面接は「グループ面接」のところもあれば、「受験者1 vs 面接官2」のようなケースで実施されることが一般的です。(昨年は後者の方が多かったです。)

 

面接官2名は、1名がリクルート担当パートナー、1名がリクルート担当マネージャーです。

 

持ち時間は30分前後で、

 

・会計士を目指したキッカケ
・英語できますか?
・うちの監査法人を選んだ理由
・興味ある業種・業界あるいはクライアント
・会計士になってやってみたいこと

 

みたいなことを温和な雰囲気の中(これ重要!)、答えていくのが一般的かと思います。

 

落とすための面接ではないです。受験者の希望を聞くための面接なのです。

 

2次面接では「受験者1 vs 面接官1」のケースが多いように思います。

 

法人によっては「口術試験」を課すところもあります。

 

口述試験とは、「10種類の所得について説明して下さい。」とか「引当金の設定の4要件を答えてください。」のような問題が書いた1枚のカードを面接に先立って(面接の15分前ぐらいに)、手渡されます。

 

その内容を口頭で答えていく形式で実施される試験です。(もちろんスマホによるリサーチなどは出来ない状況です。)

 

その上で、改めて上記のような1次面接と同様の質問に答えていく形になります。

 

同じような質問をなぜ1次面接と2次面接で聞くのかというと、面接官が異なるからです。

 

1次面接で興味ある業界(製造業、金融業、情報業等)を答えているので、2次面接の面接官は当該業界に精通しているパートナーが担うことが多いです。

 

つまり、

 

あなたの興味と適正に応じた事業部やクライアントを選定するために、面接で人となりを確認しているのです。

 

だから、不合格ありきの試験ではありません。

 

私はKPMGのOBなので、例えば、1次面接で

 

英語できますか?⇒「帰国子女なので、得意です。TOEICのスコアは900点台です。」

 

興味ある業界ありますか?⇒「学生時代に化学が好きだったので、、医薬品業界に興味があります。」

 

会計士になってやってみたいことは?⇒「海外在住経験を生かして、アメリカで勤務してみたいです。」

 

のような回答があったとします。

 

そしたら、2次面接では医薬品業界最大手のファイザー製薬の担当パートナーが面接官になります。(絶対ではないですよ。あくまでイメージです。)

 

パートナー「そうか、英語できるんだね。KPMGに入ってくれたら、連結監査チームにアサインすることになると思います。将来的にはKPMGニューヨークや、KPMGシリコンバレーなどで勤務する可能性も考慮に入れて、在外子会社の連結には強みを持たせておくと良いですね。在外子会社は他の監査人(現地のKPMG)とのやり取りを英語で行いますので、会計士業界特有の英語には少しずつ慣れて下さいね。頑張って下さい。」

 

みたいな感じで、温和な雰囲気の中(これ重要!)面接が終了することになります。

 

 

会計士業界は深刻な人手不足です。

 

だから、受験者の意向を汲み取ってくれますし、これまでの経歴も尊重してくれます。

 

素直に自分の意思を伝えることが重要です。

 

個人的なアドバイスとしては、「どんな業界でも頑張ります!」とは言わない方が良いです。

 

めちゃ忙しい事業部に配属されて、希望しないクライアントを監査する可能性が高くなるからです。

 

興味がある業界については遠慮なく伝えた方が、あなたにとっても監査法人にとっても良い結果に繋がります。

 

採用条件について

 

実はこれ、リクルート担当パートナーに聞いたことがあります。

 

一言でいうと

 

「自分の監査チームに入って欲しいと思えるか?」

 

です。これが全てです。

 

パートナーは経営者です。(監査法人の組織形態は「所有と経営の一致」です。)

 

私も独立をして7年目経過し、経営者感覚が板についてきました。

 

上記の、「自分の監査チームに入って欲しいと思えるか?」という採用目線の意味は、同じ経営者として本当によく理解できます。

 

要は、スペックじゃないんすよ。

 

TOEICで990点取ろうが、論文全体1位の成績だろうが、東大を首席で卒業しようが、そんなものは一緒に働く上で、重要ではないんです。

 

・プライドが高く、人の意見に耳を傾けない人

 

・自己の主張を曲げず、思い上がりも甚だしい人

 

なんかは、社会的には役に立たない人の方が多いです。

 

能力的に優れていることと、人間的に魅力があることには、何らの相関性もありません

 

 

だから誤解を恐れずに言えば、上記の口述面接でも引当金の4要件がすべて列挙できなくても問題ないんです。

 

「3つまでは言えましたが、残り1つは私の勉強不足のため、言えませんでした。申し訳ありません。御法人に入るまでに覚えなおします!」

 

⇒これで合格です。自分に足りていない非を認める姿勢とそれを改善する姿勢、パートナーはこれを見ているのです。そしてパートナーはこう思います。

 

この子なら自分の監査チームにいて欲しい。一緒に働きたい、と。

 

 

逆に、4つ完璧に列挙できたとしても、

 

「こんなもの、今更分かってるに決まってんじゃん。俺、塾高上がりで大学3年で合格した慶応ボーイだよ。」

 

なんて態度や姿勢を見せると、パートナーからすれば、
「井の中の蛙、大海を知らずとはこのことだな。一から教育するのは面倒くさいな。この態度や言動がクライアントにまで及べば、苦情がくるのは間違いない。それが原因でロスト(クライアントを失うこと)なんてしてしまえば最悪だ。」

 

そして、パートナーはこう思います。

 

この子はうちの法人に取ってリスク要因になり得るな。今回は縁がなかったことにしよう、と。

 

2017年6月時点のトピックですが、

 

相次ぐ暴言で自民党を離党した豊田真由子議員は東大出身。

 

快楽に身を委ねこの世の春を謳歌した小出恵介は慶応出身。

 

ね、分かるでしょ?

 

彼らが社会的制裁を受けている理由が。

 

 

声を大にして言います。

 

社会に出て、経済的・社会的に成功したかったら

 

有能ではなく、有用な人材になりなさい

 

と。

 

 

有能とはつまり、スペック(能力)に秀でていること。(TOEIC満点、論文1位、東大主席等)

 

有用とは、誰かに取って役に立つ存在であること。

 

勉強が全くできなくても、いつもニコニコ愛想を振りまく女性は「有能」ではないかもしれませんが、「有用」な人材です。

 

だから、社会に出ると重宝されます。(特に男社会では。)

 

「私は高学歴でバリバリのキャリアウーマンよ。みんなどうして私の考え方に従えないのよ?」
などとヒステリックかつ声高に叫ぶ女性は「有能」かもしれませんが、「有用」ではありません。

 

だから、社会に出るとウキます。誰も人がついてきません。

 

誰かに取って役に立つ人材こそ、今の社会が求める人材です。

 

 

で、改めて質問者さんの回答に戻ります。

 

質問者さんはスペックを気にしているようです。転職組ではないとか、新卒後、1年で辞めているとか。

 

上述したとおり、「有能」かどうかは直接的な採用条件ではないことを肝に銘じておくべきです。

 

面接の際は、「有用」であることを訴求すれば、就活では問題ないはずです。

 

例えば、

 

・会社では営業をやっていたので、コミュニケーション能力があります。

 

・高校時代にサッカー部のキャプテンをやっていたので、リーダーシップの発揮には自信があります。

 

みたいに、「自分はあなたの会社に取って役に立つ人材ですよ。」ということをアピールすると、上手く行くと思います。

 

 

売り手市場は当座、続きます。

 

最大の就活対策は、最短最速で合格すること自体にあります。

 

このチャンスをものにするためにも、次なる試験では絶対に合格してみせましょう。

 

以上です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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