公認会計士への道

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平成29年第2回 短答試験の考察

LEC講師の松本です。

 

現在(2017年5月29日時点)での今回の短答試験の考察について記述してみたいと思います。

 

まず、試験問題をすべて確認したうえで私が感じたこと それは

 

公認会計士監査審査会の威厳を見せつけられた試験

 

だったという想いです。

 

これは、昨年12月の試験が予想以上に簡単な試験問題だったこともあり、
合格最低点を71%としたにも関わらず合格率は19.8% 実に1,200名弱もの合格者を
輩出してしまった背景に起因します。

 

率直に言って、「難易度調整ミス」とも取れる前回の試験。

 

この反動が今回の試験で出たように思います。

 

とはいえ、資格試験(日商簿記や英検等)や大学受験等の各種試験において、
前回試験の難易度による反動をうけることはよくあります。
(前回が難しすぎたから、今回は簡単にしよう。的な)

 

問題は、その反動の反映方法にあります。
これが「審査会の威厳」を見せつける理由につながります。

 

結論から言うと、今回の難化の元凶は「高度すぎる計算問題」の存在に尽きます。

 

財務も管理もとにかく計算が難しかった。

 

それも

 

  • 知らなければ解けない問題(例:有価証券の売り気配、買い気配、連結税効果の税率等)
  • 分量が多すぎて時間内に解けない問題(例:管理の個別原価計算、財務の連結C/F等)
  • 不必要な論点を加えたが故に、解けない問題(例:本支店の未達、現金預金の領収書等)

が例年以上に多かったように思います。

 

明らかに難易度を高くしようという明確な意図を持って作問しようとすると
上記のような悪問・奇問が際立つ出題にせざる負えなくなります
。

 

しかも、この手の問題は事前に出題を想定することが難しいため、
答練や模試、問題集での演習の成果が得点に反映されません。

 

その意味において、しっかりと良問の反復演習をしてきた受験生が報われない試験
即ち、計算の実力差がそこまで得点差にならなかった試験だとも言えます。

 

これは本当に受験生にとっては無念極まりない、

 

短答至上最悪に残酷な試験

 

だったように思います。

 

反動の反映を計算問題に求めた理由

 

ではなぜ、財務と管理の計算問題を難化させたのか?

 

私が思うに、理論では難化による得点率を引き下げることに一定の限界があるから
だと考えています。

 

例えば、受験学校が解答が分かれるような難問があったとしても
A受験学校は1が正答、B受験学校は4が正答
といった程度の解答の割れ方になります。

 

難しくしようが、所詮は2択に絞られたうえでの、即ち、正答確率50%程度での
得点率の引き下げにすぎません。

 

一方で、計算問題は難易度の上限に制約がありません。

 

上述したような、手に負えない難易度の問題だと近似値から正答を予想することも難しいため、
確率を選択肢の数である6分の1(得点率16%)まで引き下げることが可能になります。

 

これが、得点率の引き下げを計算問題の難化に求めた理由ではないかと考えます。

 

公認会計士監査審査会の思惑

 

前回は簡単すぎて大量の合格者を輩出してしまった
⇒今回は問題を難しくして得点率を引き下げて、合格者数を絞ろう
⇒得点率の引き下げは理論では難しいから、計算の難化で対応しよう

 

という推測的思惑が成立します。

 

そして・・・

 

⇒難化した計算であっても一定程度の実力を有する者を選別しよう。
⇒前回レベルの計算力で合格できると思ってもらっては困る。

 

ここに、冒頭で記述した「審査会の威厳」の確保とプライドを見て取ることができます。

 

審査会としては平成29年度を通した難易度の調整にしているかも
しれませんが、個人的には得点率の引き下げを手に負えないレベルの計算問題に
求める考えには、上述した計算力の差が得点に反映されないという点で反対です。

 

むしろ、計算の難易度を前回レベルに易化する代わりに、合格者数を絞るため、合格ラインを
引き上げる方が、努力が報われる受験生が多いのではないかな、とは思いますが。。。

 

計算の難化傾向は次回試験以降も続くのか

 

結論から言うと、私は「続かない」と見ています。

 

理由としては

 

前回が想定以上に易化した試験だったから、今回を想定以上に難化した試験にすることで
年間の合格者数を一定程度にしていることが挙げられます。

 

つまり、前回がイレギュラーに簡単だった反動のツケを、
今回のイレギュラーに難しい試験で調整しているに過ぎない以上、
今後も継続的に難化していくという意思の表れでは必ずしもないと考えられるからです。

 

いずれにしても、今回の試験は受験生及び受験学校泣かせの計算問題の難化が際立った点に
その特徴が求められます。

 

逆の見方をすれば、絶対に落としてはいけない超基本的問題を取り切れている受験生
でないと合格できない試験
という特徴も有しています。

 

具体的な超基本的問題とは・・・

 

財務会計論の場合だと

 

問題5:売価還元法
問題6:有形固定資産の合計額
問題7:転換社債型新株予約権付社債
問題16:連結F/Sにおける退職給付会計

 

                       の4問です。

 

管理会計論の場合だと

 

問題8:最適セールスミックス
                       の1問です。

 

これらの問題は1問でも落とすと合格が難しい試験でした。

 

ちなみに財務は以下の問題19、22のうち最低1問確保も必須かと思います。

 

問題19:在外支店の換算
問題22:報告セグメントの決定

 

ちなみに管理は以下の問題6、10、12のうち最低2問確保も必須かと思います。

 

問題6:工程別総合原価計算(増量あり)
問題10:財務分析
問題12:CVPの感度分析

 

上記のような基本的良問を確実に取りきる力は絶対に養成しておくべきです!!

 

「簿記を制する者は、会計士試験を制す。」

 

これは、昭和の時代から受験業界において脈々と語り継がれている格言です。

 

今回ほど、「簿記を制する」という格言の深い意味を考えさせる試験は他にはなかった
ように思います。

 

以上が平成29年2回の短答試験の考察でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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