管理会計論の短答攻略法ver.2.0
どうも、松本です。
近年、難化傾向にある管理会計論の短答攻略法ver.2.0をUPしました。
この戦略をマスター出来れば、足切りなんて恐くありません。
紙とペンをご用意して、じっくりとメモしながら確認して下さいませ。
さてさて、皆さんは「セカンドエフォート」という言葉をご存知でしょうか。
直訳すると2度目の努力という意味合いになるんですが、この言葉は私の好きなアメフト発祥の語源であります。
ボールを持っている選手がタックルを受けた時に、倒れずに少しでも前に進もうと努力することを指します。
アメフトの世界では、ボールを持っている選手は前に進むのですが、これをタックルにより阻止するディフェンスがいます。
タックルを受けた後、直ぐに倒れることなく、少しでも前に進もうとする2度目の努力のこと、これが「セカンドエフォート」です。
「もう少し」と言う意味に置き換えた方が分かりやすいかも知れません。
タックルという名の壁にぶつかった後に、1歩でも2歩でも良いから、前に進むこと。
この小さな積み重ねが、最終的に大きなアドバンテージに繋がります。
では、これより本題へ。
令和元年以降、管理会計論の短答試験が極端に難化しました。
試験委員に問題の改善を促したとしても、それを受け入れるかどうかのボールはこちら側にはありません。
つまりは管理不能なんです。
今後の問題が良問に転じるのか、難問という名の悪問のままなのかが。
だから、考案してきましたよ。
難しい局面でも合格点をもぎ取る戦略
を。
名付けて「セカンドエフォート戦略」です。
まずは戦略の概要をご覧下さい。
理論 or 計算 | 内訳 | 目標得点 | 正答 | 目標時間 |
理論 | 原価計算 | 20点 | 4問中4問 | 15分 |
理論 | 管理会計 | 10点 | 4問中2問 | |
計算 | 7点問題 | 21点 | 4問中3問 | 40分 |
計算 | 8点問題 | 0点 | 4問中0問 | 5分 |
セカンドエフォート戦略の特徴
@ 解く順番は、点数の低い順に5点(理論)⇒7点(計算)⇒8点(計算)の順番。(必ず守ること)
A 原価計算基準関係は完答必須。(この戦略の1つ目の肝)
B 理論の目標所要時間は15分。
C 計算はガチで正答数値を算出しに行くのは「7点問題」のみ。(この戦略の2つ目の肝)
D 7点問題4問の目標所要時間は40分以内(1問10分以内なら、余裕を持って対処できる。)
E 8点問題4問は「正答することではなく、選択肢を絞ること」を目標にする。(この戦略の3つ目の肝)
この戦略が功を奏すれば、51点は死守できます。
7点問題に1問当たり10分近く時間をかけてもOKなので、4問完答できるかもしれません。
その場合は、+7点の加点。
更に、2から3択まで絞った8点問題のサイコロ転がしゲームがハマった場合には、+8点の加点もあり得ます。
つまり、51点〜66点を獲得することが現実的に可能な戦略です。
超余裕で合格圏内です。
管理至上、最高難易度を誇る現行の短答問題において、一番重要なポイントは「足切りを食らわないこと」に尽きます。
この戦略は配点の低い5点問題と7点問題の積み上げにより、早々と足切りラインを上回ることを目標とする戦略です。
開始15分で理論から30点獲得し、残り20分以内に7点問題を2問正答できれば、開始35分以内に44点確保という「足切りセーフの安心感」を得ます。
つまり、ファーストエフォートは足切りを回避する努力です。
残り20分〜30分が、セカンドエフォートタイムの突入です。
ここで言う「2番目」の努力とは何か?
ファーストエフォートで答えが出せていない状況です。
なら、無理して正答することを目標にしなくても良いです。
「選択肢を絞る」ことを意識すれば良い。
これが2番目の努力です。
計算問題は5択と6択が混在していますが、目標は半分程度まで選択肢を絞ること。
「明らかにこれはおかしい。」と判断できるものや「これだけは数値として出せる。」と判断したものをベースに、消去法で選択肢をどんどん削っていきます。
8点問題の場合、その先に正答困難な「もう1つ努力しないと答えが出せない難攻不落の壁」が存在しますが、これを「サードエフォート」で突破しようと思わないことが重要です。(ここがポイント!)
これにハマると合格のための勉強の本質を見失います。
この勉強はコスパが悪いですし、モチベも下がりますし、苦難の道のり必至です。
私は「8点問題を正答できる計算応用力をつけましょう。」とは一切言っていませんし、全く思いません。
「7点問題を正答できる計算基礎力を駆使して、8点問題の選択肢を絞り込みましょう。」と。
もうお気づきかと思いますが、この点は試験委員も意識しています。
計算分量が少なく、比較的解きやすい基本問題を7点問題
計算分量が多く、現場思考型の応用問題を8点問題
にしよう、と。
とても点数差にして、1点の差とは思えない難易度の差がそこにはあります。
だから、計算の解き順は必ず7点問題⇒8点問題です。
問題の順番に解いてはいけません。
平成31年第2回の場合、問題用紙の1ページ目に
問題1,3,5,7,9,12,15,16 各5点
問題4,8,10,11 各7点
問題2,6,13,14 各8点
と書いてあります。(試験開始前に確認可能です。)
だから最初に着手する計算は「問題4」からです。
以前、こちらのページで管理の攻略法を伝授しています。
全問着手する意識を排除して、実質的に取れそうな問題をピックアップして、時間をかけて良いから確実に取って行きましょう。
という戦略です。(以下、「実質戦略」と呼称します。)
もちろん、この考え方は今でも不変ですし、戦略としても意味を帯びます。
ただ、最近の高難度の問題の場合、この実質戦略では難しい点が一つあります。
何が難しいか?
それは
「実質的に取れそうか否かの判別が」です。
一昔前の問題であれば、パッと見て「過去問の焼き直しだし、解けそう!」とか「あぁー、これ後回しのやつ」といった峻別可能な問題が多かったのです。
この場合は、状況によって立ち回りの仕方(計算に要する時間や着手する問題数)を弾力的に変えることが出来ました。
しかし、最近の問題だと「あぁー、これ後回しのやつ」ばかりなんです。(つまり、ぱっと見で解けそうな問題がほぼない。)
だから、時間制約がある状況下で、実質的に解けるかどうかの判別を推し量ることが難しくなってきています。
問題の配点を基準に対処方法を変える方が、はるかに分かりやすい。
その点で、「セカンドエフォート戦略」は明快です。
なんせ、5点⇒7点⇒8点 の順に対処するだけだからです。
では、ここからセカンドエフォート戦略を遂行する上で、効果的な勉強方法をお伝えしたいと思います。
1.理論 原価計算 4問中4問 得点目標20点
全てにおいてこの「原価計算基準」関係の問題を100%正答すること。
セカンドエフォート戦略の1つ目の肝です。
過去問を中心に、原価計算基準の周辺知識だけは絶対に体得しておかなければなりません。
2.理論 管理会計 4問中2問 得点目標10点
CVP分析以降の管理会計の理論はコストにせよ、プロフィットにせよマネジメントの理論中心になります。
この領域の最大の特徴は範囲が広いこと。
組織や戦略もマネジメントの一環ですし、原価管理や原価企画もコストマネジメントの一環です。
予算管理や資金管理もマネジメントの一環ですし、事業部制や意思決定もマネジメントの一環です。
原価計算基準のような公的な基準が存在しない以上、闇雲に対策しても効果的ではありません。
以上を踏まえて、私がおススメする勉強法は2つあります。
@ 過去問(一問一答)を中心にした学習
A 経営学のファイナンス論を通じた学習
@は、管理会計の理論対策をテキスト中心ではなく、過去問中心のアウトプットから確認する学習です。
同じような肢が焼き直しで使われることも少なくないので、過去問を中心とした学習の反復により正誤の精度を高めていきます。
Aは、選択科目である経営学(特にファイナンス論)の学習を通じて、企業価値やら資本コスト等の算定問題について計算及び理論の双方の観点から知識を身に着ける学習です。
経営学の論文本試験では、ファイナンス論に登場する重要用語を記述する理論問題が出題されますので、その際に学習する理論は管理会計論の理論対策としてそのまま活用できます。
管理会計論の学習に限界を感じている方にとって、経営学のファイナンス論から学び直す「味変学習」はおススメです。
3.計算 7点問題 4問中3問 得点目標21点
ここが日常の計算学習の中心になります。
典型問題、基本問題、知識確認問題、等の反復に値する良問を徹底的に繰り返すこと。
解いていて、「俺スゲー」と感じるような煌びやかな問題じゃダメです。
派手さがない地味な問題を解くことがポイントです。
これは、野球やサッカーで言うところの「走り込み」に相当します。
とにかく足腰を強化しておかなければ、今の試験では計算問題を解く気にすらなれません。
難易度のイメージはテキスト問題以上答練未満と言ったところでしょうか。
基本問題集といった媒体があるのであれば、そのレベルが妥当します。
4.計算 8点問題 4問中0問 得点目標0点
繰り返しになりますが、8点問題の場合、努力した先に正答困難な「もう1つ努力しないと答えが出せない難攻不落の壁」が存在します。
しかし、これを突破するための計算力を養成しようと思わないことが重要です。
難問は避けるが吉
です。
こちらの記事にも記載した通り、
「最後まで答えが出せなくて気持ち悪いが、選択肢を3択まで絞ったところで手を打とう。」
「これ以上は深入りするだけ時間の無駄だ。」
という、絶妙な匙加減を短答当日の過酷な状況下で判断するのは至難の業ですが、この中途半端な感覚が実に重要です。
この中途半端な感覚は、戦略的に養成することが可能です。
と記載しました。
「最後まで解けそうにないから諦める。」 のではなく、
「最後まで解けないことを前提に、選択肢を絞り込むところまではやる。」
という意識で臨むと、気分も楽になりますし、本番でテンパる可能性を軽減できます。
難しい答練や模試は、答えが合っていたかではなく、選択肢の絞り込みができたか。
を検証の目的に据えると良いかと思います。
8点問題の目標得点はズバリ0点、ラッキーパンチ炸裂で1問でも当たれば御の字です。
これなら焦る必要もないので、精神衛生上もゆとりが生じます。
ちなみに、本試験が簡単な問題の集合体だった時にもこの戦略はそのまま妥当します。
例えば、7点問題も8点問題も比較的簡単で解きやすかったとします。
その場合、
理論問題 | 8問中6問正答 | 30点 | 15分 |
7点問題 | 4問中4問正答 | 28点 | 25分〜30分 |
8点問題 | 4問中2問正答 | 16点 | 15分〜20分 |
これで74点です。100%合格圏内です。
このように簡単な問題の際にもセカンドエフォート戦略は使えます。
最後に一言。
難しい問題を、難しい方法や応用的な技術で攻略しようと思ってはいけません。
私自身も経験がありますが、この考えはめちゃくちゃしんどいです。
難しい問題を、いかに簡単な方法や基本的な技術で突破するかという、思考のパラダイムシフトが重要です。
気がラクになる⇒ヤル気が出る⇒モチベーションUP⇒勉強時間UP⇒基礎力UP⇒更に気がラクになる⇒ヤル気が出る・・・
の好循環こそが合格者の思考です。
参考にして頂ければと思います。
以上です。
長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。
2019年6月10日 松本 翔
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