幸せとは何か?〜界王星と微分のお話〜
どうも皆さんこんにちは。
公認会計士の松本です。
本日のテーマは「幸せとは何か?」です。
生きる目的の記事であったり、最近何かと哲学的な思想をテーマにして恐縮ですが、文章にしてみると面白いですよ。
スピリチュアルにハマっている訳ではありませんので、ご安心下さい。
我ながら仕上がりの良い記事になっておりますので、最後までご覧頂ければ幸いです。
ではまいりましょう!
まずは、ウィキペディアによる幸せの定義から。
幸せとは、心が満ち足りていること。
心が満ち足りている・・・
何によって満ち足りるのかが不明なので、少し分かりにくいですね。
分かりにくいので、私が「幸せ」の定義を考えてきました。
幸せとは、「これがずっと続けば良いのになぁ。」という状態のことだと思います。
だから継続的ではなく一時的かつ刹那的なものであり、状態なので常に変化する側面があります。
以下、分かりやすい事例で説明します。
ケース1
気温が35度ある真夏の炎天下で、お仕事をしています。
仕事終わりに会社の仲間と飲みに行った時のビール。
一杯目の「あぁ〜!うまい!!最高だ!!!」
これが幸せです。
「これがずっと続けば良いのになぁ。」という典型的な状態です。
仕事終わりということもあり、心が満ち足りている状態でもあります。
ところが、二杯目、三杯目と続くにつれて、満足度が逓減していきます。
徐々に満足度が小さくなっていきます。
一杯目の満足度が継続しない点がポイントです。
幸せは状態なので常に変化します。
飲み過ぎて十杯目ぐらいになると気持ち悪くなります。
「これがずっと続けば良いのになぁ。」という状態とは真逆のことが起こります。(「二日酔い」というやつです。)
ケース2
真冬の寒空の下で、露天風呂に入ります。
入った瞬間の「あぁ〜!気持ち良い!!」
これが幸せです。
「これがずっと続けば良いのになぁ。」という典型的な状態です。
ところが、20分、30分とお風呂に入るにつれて、満足度が逓減していきます。
だんだんのぼせてきます。
そしてお風呂に入り続けると気分が悪くなります。
「これがずっと続けば良いのになぁ。」という状態とは真逆のことが起こります。(「脱水症状」というやつです。)
これらの事例から言えることとして、重要なことがあります。
幸せは総量では決まりません。
たくさん飲んだから幸せな訳ではありません。
たくさん食べたから幸せな訳ではありません。
たくさんお風呂に入ったから幸せな訳ではありません。
もう少し踏み込みますと・・・
たくさんお金があるから幸せな訳でもありません。(これについては後述します。)
それからもう一つ。
幸せは結果(十杯飲んだ)ではなく、プロセス(一杯目のうまい!)にある。
これは覚えておきましょう。
ということは、「結果さえ手にできれば幸せになれる」という考え方は間違いです。
幻想に過ぎません。
公認会計士になりさえすれば幸せになれる。
そんなはずありません。
合格したものの監査法人で上手くいかず、うつ病を患ったり急に会社に来なくなった人を私はたくさん知っています。
結婚さえできれば幸せになれる。
そんなはずありません。
日本人の離婚率は30%を超えています。
およそ三組に一組は離婚します。
結婚さえできれば幸せになれる。
という考え方が事実だとしたら、理論上、離婚率は0%なはずです。
お金さえあれば幸せになれる。
そんなはずありません。
何でも手に入ってしまうと、やることが本当になくなります。
誰からも必要とされなくなり、人生がつまらなくなります。
公認会計士だから幸せな訳ではありません。
結婚しているから幸せな訳ではありません。
お金があるから幸せな訳ではありません。
じゃあ改めて、「幸せ」とは何なのか?
上述したように、私が考える「幸せ」の定義は、
「これがずっと続けば良いのになぁ。」という状態のことを指します。
公認会計士になったという状態がずっと続くのだから、幸せは継続するのでは?
と思う方もいるかもしれませんが、これは違います。
公認会計士になったというステータスは、厳密には状態ではなく結果です。
上述のように幸せは結果ではなく、プロセスにあります。
第一志望の大学に入った大学生の皆さん、その大学に入ったこと自体に対する幸せを感じますか?
第一志望の会社に入った社会人の皆さん、その会社に入ったこと自体に対する幸せを感じますか?
幸せだと答えた方は、恐らく下記の2つのいずれかに該当します。
@大学や会社で何かに打ち込んでいる状態があるから幸せを感じている。
A全く人間として成長していない。(成長しない人ほど、過去自慢をする傾向があります。)
本来、第一志望の大学に入ったこと自体に対する幸せは、合格発表日当日ぐらいなもんです。
繰り返しになりますが、幸せは継続的ではなく一時的かつ刹那的なものであり、状態なので常に変化する側面があります。
加えてもう一つ。
「幸せ」の他に「幸福度」という概念があります。
ここで両者の関係性について確認してみます。
「幸せ」という状態を総合的に図る指標が「幸福度」だと私は考えています。
「幸せ」は一過性の状態ですので、「仕事」「家族」「お金」「健康」「趣味」などのテーマについて一つ一つ幸せかどうかを思考するのが面倒なので、これらを総合的に勘案した指標が「幸福度」になります。
監査論的に言うならば、
適正性命題(財務諸表が適正か)を細分化した監査要点(売上は適正か)
と同様に
「幸福度」命題(幸福かどうか)を細分化した「幸せ」要点(仕事については幸せか)
みたいなイメージです。
公認会計士になったのに、幸福度が高くない人もたくさんいます。
結婚しているのに、幸福度が高くない人もたくさんいます。
お金があるのに、幸福度が高くない人もたくさんいます。
じゃあ「幸福度」は何によって決まるのか?
私の考えは、
幸福度は変化量に依存する。
というものです。
変化量とは、傾き、つまり数学で言うところの「微分」に相当します。
現在の状態から追加的に1単位増えた時の増減率が変化量です。
Y=3X ならXが追加的に1増えるとYは3増えます。
Y=−2X ならXが追加的に1増えるとYは2減ります。
この傾きに相当する部分が変化量であって、それが幸福度に直結します。
だから何も変化がなければ、微分すると傾きは0になります。
数学の授業でやった通り、微分して0になる地点が極大値や極小値です。
これ以上の大きい(或いは小さい)数値はありません。
極大値より増えることはないんです。
これが日常生活において何を意味するのか? それは、
人は何も変化がなければ、それ以上幸福度は増えない。
ということです。
変化のない日常を幸せだとは考えられなくなります。
月曜から金曜まで毎日、同じ時間の満員電車に乗って職場に行って、上司の顔を伺いながら卒なく仕事をこなす。
日本人の皆さんが大好きな「安定」した生活です。
しかし、その代償は大きい。
「安定」の代償として「自由」を失います。
「安定」の代償として「幸福度」が上がりません。
なぜなら、変化量たる傾きがほぼ0に近いからです。
「安定」は「変化」とは真逆の概念ですので、安定すればするほど幸福度は上がりません。
安定を好む日本人の幸福度は、国連の関係機関がリリースしている2021年の世界幸福度ランキングで56位です。
データソースはこちら。(PDFの23ページ/212ページ)
G7{米国(19位)、英国(17位)、ドイツ(13位)、フランス(21位)、カナダ(14位)、イタリア(28位)、日本(56位)}の中では圧倒的最下位です。
ちなみに幸福度のお話をする上で避けて通れないのが「ブータン王国」です。
国民が「雨風をしのげる家があり、食べるものがあり、家族がいるから幸せだ」と皆一様に言い、2005年の国勢調査では国民の97%が幸せを感じていました。
ブータン王国は2013年には世界8位となり、北欧諸国を除いて【世界一幸せな国】として広く知られるようになりました。
ところが2019年には95位にまで下がり、直近の2021年のデータでは圏外(149位以内に入っていない)です。
なぜなのか?
理由はグローバル化とIT化によってSNSが浸透し、他国の方が物質的にも経済的にも豊かであることをブータン国民が知ってしまったからです。
これによって、「他国や他人と比較すると幸福度は下がる。」ことが立証されてしまったのです。
「隣の芝生が青く見える」という状況に陥ってしまったのです。
ランキング上位勢(1位:フィンランド、2位:デンマーク、3位:スイス)等の北欧諸国には、「他人と比較する」という考え方自体が根付いていません。
自分は自分、他人は他人。
個性を出してなんぼ。
楽しく生きてなんぼ。
という、私が大好きな価値観を有しています。
日本のように他人の目を気にして生きるとか、「同調圧力」とかいうクソみたい考え方を持つ国の方が幸福度は低いです。
2021年の調査だと、韓国は62位、中国は84位です。(東アジア圏は総じて幸福度が低いです。)
ちなみに日本の場合、「現状維持」は0ではなくマイナスです。(幸福度は下がり続けます。)
物価が上昇する中、人口が減少していますので、現状維持は経済的にも精神的にも悪化の一途をたどります。
逆に環境に適応して、変化すればするほど幸福度は上がります。
じゃあ、どうやって変化すれば良いのか?
簡単です。
毎日、色々なことに挑戦してみればいいのです。
失敗や成功も含めて様々な気づきを得ていけば良いのです。
仕事もプライベートも、です。
これまでやったことのない仕事に思い切ってチャレンジしてみる。
いつも降りる駅の1つ手前の駅で降りて、散歩しながら帰宅してみる。
推しが出るイベントに一人で参加してみる。
普段行かないようなお店(例えば、男性なら花屋さん、女性なら牛丼屋さん)に行ってみる。
こういった変化の積み重ねによって「幸福度」が上がっていき、「幸せ」を感じる機会が増えていきます。
人間どうせ死ぬんでチャレンジしたもん勝ちです。(1人で牛丼食べる女性とか私は大好きです。)
経験したもん勝ちです。
以前、テレビ番組で100歳を超えるおばあちゃんに長寿の秘訣をインタビューしていました。
おばあちゃん「毎日、笑顔で暮らすだけやもん。ホンマそれだけよ。」
これは人生の大先輩の名言だと思います。
笑顔って身体的には顔の変化ですが、何かを見たり聞いたりするイベントや出来事が不可欠です。
おばあちゃんは毎日違う話を聞いて笑顔になるので、毎日誰かと会ったり、面白いテレビ番組を見たりしているはずです。
つまり毎日の日常ですら、変化を感じることができます。
幸福度の高い生活が「お金」や「社会的地位」に依存しないことが分かります。
もう一つの事例を。
皆さんはドラゴンボールZをご存知でしょうか?
サイヤ人であるラディッツとの戦いで孫悟空は死んでしまい、界王星で修業をすることになります。
界王星は直径数十メートルしかない、めちゃくちゃ小さな星です。(こんな感じ↓)
ここで、孫悟空が界王様に質問をするシーンがあります。
孫悟空:「界王様 こんなちっちぇー星に住んでてたいくつしねぇんか?」
界王様:「こんな星だって色々楽しみはあるんだぞ…例えば 草が何本あるか数えたり おしっこを飛ばしてみたり ドライブしてみたり とな〜」
孫悟空:「…」
つまらない日常を変化で満たしていく。
この思考がまさに幸福度における至高の領域。
ちなみに幸せは、オフラインだけでなくオンラインでも当然享受できます。
マンガやアニメのような2次元や動画視聴でも幸せな状態を手にできます。
では、最後にまとめます。
☆重要ポイント(まとめ)
幸せとは、「これがずっと続けば良いのになぁ。」という状態のこと。
継続的ではなく一時的かつ刹那的なものであり、状態なので常に変化する側面があること。
幸せは結果ではなく、プロセスにあること。
「幸せ」という状態を総合的に図る指標が「幸福度」であること。
幸福度は変化量に依存すること。(変化しないと幸福度は上がらない。)
他人と比較して生きる人は幸福度が低いこと。
幸福度が高い人は変化を好むこと。
変化とは、毎日、色々なことに挑戦し、失敗や成功も含めて様々な気づきを得ていくこと。
以上です。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
22年01月30日 公認会計士 松本 翔
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